マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか3(「かける」「マイナス」の意味)2009年06月25日 18時22分

マイナスかけるマイナスの理解のしにくさは、一つは「かける」「マイナス」という言葉のイメージにあると思う。

「かける」「マイナス」という言葉から、一般の人たちはどんなことを連想するのか、何をイメージするのか。つまり、どんなスキーマ(既にもっている知識・認知構造)をもっているのか。

「かける」という言葉からは、おそらく、大きくなる、多くなる、増える、倍になる、などのイメージをもつだろう。そして、「マイナス」には、何かを取ること、減っている状態、負担のある状態、などのイメージがあるだろう。とすれば、「マイナス」を「かける」となると、逆に、少なくなる、減る、何分の一かになる、などをイメージするはずだ。

さらに、「マイナス」に「マイナス」を「かける」となると、「マイナス」と「かける」のイメージから、答えがプラスになるはずがないと思ってしまう。

しかし、数学は一般的・日常的なスキーマを頑なに拒否する。あくまで、数学の論理で無矛盾性・一貫性をひたすら追究する。その結果が、「マイナス」「かける」「マイナス」はプラスなのだ。ここで一般社会(日常生活)との一種の乖離が生まれてしまう。

残念なことに、これが数学が嫌われる一つの理由かと思われる。

http://fukuto.asablo.jp/blog/2009/06/18/4373835
http://fukuto.asablo.jp/blog/2009/06/21/4382046

すでに上記にカードゲームの例と東西に移動する例を述べたが、「マイナス」を「かける」ことを一般的スキーマとは違うように捉えている。

カードゲームでは「捨てるという行為」に、そして東西への移動では「時間を遡ること」にたとえている。「マイナス」を負担のある状態や減ってしまった状態とは考えていない。

ある意味、数学を学ぶとは言葉もつ一般的意味(スキーマ)をぶち壊すこと、つまり習慣を断ち切ることだと思う。