マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか おまけ ― 2009年10月23日 09時13分
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか <おまけ>
以前に、マイナスかけるマイナスがプラスでなくてもいいという考え方が可能ではないだろうか、と書いたが、ネット上にそれに関する情報をみつけた。
http://www.newtonpress.co.jp/qa/0812/a0801.html
マイナスかけるマイナスはマイナスという考え方が成立するとは明確に述べていないが、その可能性を示唆している。複雑な新しい体系を考えなければならないそうで、全く違う発想が必要なようだ。
以前に、マイナスかけるマイナスがプラスでなくてもいいという考え方が可能ではないだろうか、と書いたが、ネット上にそれに関する情報をみつけた。
http://www.newtonpress.co.jp/qa/0812/a0801.html
マイナスかけるマイナスはマイナスという考え方が成立するとは明確に述べていないが、その可能性を示唆している。複雑な新しい体系を考えなければならないそうで、全く違う発想が必要なようだ。
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか7 ― 2009年07月23日 09時54分
今回は「マイナスかけるマイナス」問題の最終回としたい。
多くの人が「マイナスかけるマイナスがプラスであること」に疑問をもつし、私自身もそうであったので、納得のいく説明を求めてきた。また、多くの数学教育者も学習者が納得のいく説明を日々考えているのだと思う。
しかし、「マイナスかけるマイナスはプラスでなくてもいい」という考え方はできないのか。「マイナスかけるマイナスがプラス」になるは、ある体系から考えた単なる決まり事であろう。そのように考えたほうが、その体系では矛盾なく説明できるからだ。そうであれば、別の体系から考えたら、別の決まり事が必要になってくるのではないか。
もしかしたら私が知らないだけで、すでに別の体系が存在しているのかもしれない。
教師にとって学習者に「マイナスかけるマイナスがプラス」であることを上手に説明し納得してもらうことは確かに重要だ。大事な大事な数学教育だ。しかし、それと同時に「これはある体系から考えた単なる決まり事なんだ。他の体系だったら、他の決まり事が必要になるかもしれないんだ。」と伝えることも大事な数学教育ではなかろうか。
数学の本質は、既にある決まり事を理解し覚えることではない。ありとあらゆることを疑い、可能な限りの仮説を立て、自由に考えることである。
多くの人が「マイナスかけるマイナスがプラスであること」に疑問をもつし、私自身もそうであったので、納得のいく説明を求めてきた。また、多くの数学教育者も学習者が納得のいく説明を日々考えているのだと思う。
しかし、「マイナスかけるマイナスはプラスでなくてもいい」という考え方はできないのか。「マイナスかけるマイナスがプラス」になるは、ある体系から考えた単なる決まり事であろう。そのように考えたほうが、その体系では矛盾なく説明できるからだ。そうであれば、別の体系から考えたら、別の決まり事が必要になってくるのではないか。
もしかしたら私が知らないだけで、すでに別の体系が存在しているのかもしれない。
教師にとって学習者に「マイナスかけるマイナスがプラス」であることを上手に説明し納得してもらうことは確かに重要だ。大事な大事な数学教育だ。しかし、それと同時に「これはある体系から考えた単なる決まり事なんだ。他の体系だったら、他の決まり事が必要になるかもしれないんだ。」と伝えることも大事な数学教育ではなかろうか。
数学の本質は、既にある決まり事を理解し覚えることではない。ありとあらゆることを疑い、可能な限りの仮説を立て、自由に考えることである。
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか6 ― 2009年07月16日 08時59分
よくありがちな一般的な説明はほとんど取り上げたので、今回は違った角度から。
以前に誰かに聞いたのだが、「二重否定」のイメージで捉えている人もいるようだ。つまり、マイナスを「否定」を考え、例えば「ないわけがない」(マイナスかけるマイナス)=「ある」(プラス)と理解する。
一つの理解の仕方として悪くないと思うが、「たす」「ひく」との連関が全くなくなってしまう。つまり「二重否定」の考えでは「マイナスたすマイナス」が全然説明できない。その点では、時間・方向、トランプゲームとは決定的に違う。
また、コインの表裏のイメージもあるようだ。「裏(マイナス)の裏(マイナス)は表(プラス)」というものらしいが、定義づけを考えると意外と難しい。表の位置をプラス、裏の位置をマイナスと考えて、反対側へ移動することをマイナスをかけることと定義づけると説明はできる。しかし、同様に「たす」「ひく」の説明はできない。
やはり、正負の数の四則計算(たす・ひく・かける・わる)が統一的・体系的に説明できる方法がより優れているのは言うまでもないが、理解には個人差があるので、上記のような例は一つのイメージ作りとしては悪くないのかもしれない。
蛇足だが、言語現象として「二重否定」が肯定にならない例も付け加えておく。以下によくまとまっている。
http://beatles-eigo.seesaa.net/article/1576800.html
以前に誰かに聞いたのだが、「二重否定」のイメージで捉えている人もいるようだ。つまり、マイナスを「否定」を考え、例えば「ないわけがない」(マイナスかけるマイナス)=「ある」(プラス)と理解する。
一つの理解の仕方として悪くないと思うが、「たす」「ひく」との連関が全くなくなってしまう。つまり「二重否定」の考えでは「マイナスたすマイナス」が全然説明できない。その点では、時間・方向、トランプゲームとは決定的に違う。
また、コインの表裏のイメージもあるようだ。「裏(マイナス)の裏(マイナス)は表(プラス)」というものらしいが、定義づけを考えると意外と難しい。表の位置をプラス、裏の位置をマイナスと考えて、反対側へ移動することをマイナスをかけることと定義づけると説明はできる。しかし、同様に「たす」「ひく」の説明はできない。
やはり、正負の数の四則計算(たす・ひく・かける・わる)が統一的・体系的に説明できる方法がより優れているのは言うまでもないが、理解には個人差があるので、上記のような例は一つのイメージ作りとしては悪くないのかもしれない。
蛇足だが、言語現象として「二重否定」が肯定にならない例も付け加えておく。以下によくまとまっている。
http://beatles-eigo.seesaa.net/article/1576800.html
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか5 ― 2009年07月10日 12時20分
前回同様、数学の無矛盾性から考えてみます。
(-3)×0=0という前提から進めます。
0=(+2)+(-2)と変形させ、これを上記に代入します。
(-3)×((+2)+(-2))=0となります。
さらにこれを変形させます。
(-3)×(+2)+(-3)×(-2)=0となります。
これを計算してみるとわかりますが、(-3)×(+2)が(-6)であれば、(-3)×(-2)が(+6)とならなければ、答えが0となりません。マイナスかけるマイナスがプラスとならなければ、矛盾してしまうわけです。
参考
『数の論理』(保江邦夫)
『恥ずかしくて聞けない数学64の疑問』(仲田紀夫)
(-3)×0=0という前提から進めます。
0=(+2)+(-2)と変形させ、これを上記に代入します。
(-3)×((+2)+(-2))=0となります。
さらにこれを変形させます。
(-3)×(+2)+(-3)×(-2)=0となります。
これを計算してみるとわかりますが、(-3)×(+2)が(-6)であれば、(-3)×(-2)が(+6)とならなければ、答えが0となりません。マイナスかけるマイナスがプラスとならなければ、矛盾してしまうわけです。
参考
『数の論理』(保江邦夫)
『恥ずかしくて聞けない数学64の疑問』(仲田紀夫)
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか4 ― 2009年06月30日 22時18分
しつこいですが、第4弾です。今度は日常言語ではなく、数学の無矛盾性(数学は矛盾してはいけない、論理一貫性が必要だ)から考えてみます。
...
...
-2×3
-2×2
-2×1
-2×0
-2×-1
-2×-2
-2×-3
...
...
上記のようにマイナス2にかける数を1ずつ減らしていきます。そうすると答えはどうなるでしょうか。
...
...
-2×3=-6
-2×2=-4
-2×1=-2
-2×0=0
-2×-1=?
-2×-2=?
-2×-3=?
...
...
答えをみればすぐにわかりますが、2ずつ増えています。つまり、かける数を1ずつ減らすと答えは2ずつ増えるということです。とすれば、
...
...
-2×3=-6
-2×2=-4
-2×1=-2
-2×0=0
-2×-1=+2
-2×-2=+4
-2×-3=+6
...
...
となるざるを得ないということです。つまり矛盾なく説明するには、上記とするしかないということです。
参考図書
『数の論理』(保江邦夫)
『恥ずかしくて聞けない数学64の疑問』(仲田紀夫)
...
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-2×3
-2×2
-2×1
-2×0
-2×-1
-2×-2
-2×-3
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上記のようにマイナス2にかける数を1ずつ減らしていきます。そうすると答えはどうなるでしょうか。
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-2×3=-6
-2×2=-4
-2×1=-2
-2×0=0
-2×-1=?
-2×-2=?
-2×-3=?
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答えをみればすぐにわかりますが、2ずつ増えています。つまり、かける数を1ずつ減らすと答えは2ずつ増えるということです。とすれば、
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-2×3=-6
-2×2=-4
-2×1=-2
-2×0=0
-2×-1=+2
-2×-2=+4
-2×-3=+6
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となるざるを得ないということです。つまり矛盾なく説明するには、上記とするしかないということです。
参考図書
『数の論理』(保江邦夫)
『恥ずかしくて聞けない数学64の疑問』(仲田紀夫)
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか3(「かける」「マイナス」の意味) ― 2009年06月25日 18時22分
マイナスかけるマイナスの理解のしにくさは、一つは「かける」「マイナス」という言葉のイメージにあると思う。
「かける」「マイナス」という言葉から、一般の人たちはどんなことを連想するのか、何をイメージするのか。つまり、どんなスキーマ(既にもっている知識・認知構造)をもっているのか。
「かける」という言葉からは、おそらく、大きくなる、多くなる、増える、倍になる、などのイメージをもつだろう。そして、「マイナス」には、何かを取ること、減っている状態、負担のある状態、などのイメージがあるだろう。とすれば、「マイナス」を「かける」となると、逆に、少なくなる、減る、何分の一かになる、などをイメージするはずだ。
さらに、「マイナス」に「マイナス」を「かける」となると、「マイナス」と「かける」のイメージから、答えがプラスになるはずがないと思ってしまう。
しかし、数学は一般的・日常的なスキーマを頑なに拒否する。あくまで、数学の論理で無矛盾性・一貫性をひたすら追究する。その結果が、「マイナス」「かける」「マイナス」はプラスなのだ。ここで一般社会(日常生活)との一種の乖離が生まれてしまう。
残念なことに、これが数学が嫌われる一つの理由かと思われる。
http://fukuto.asablo.jp/blog/2009/06/18/4373835
http://fukuto.asablo.jp/blog/2009/06/21/4382046
すでに上記にカードゲームの例と東西に移動する例を述べたが、「マイナス」を「かける」ことを一般的スキーマとは違うように捉えている。
カードゲームでは「捨てるという行為」に、そして東西への移動では「時間を遡ること」にたとえている。「マイナス」を負担のある状態や減ってしまった状態とは考えていない。
ある意味、数学を学ぶとは言葉もつ一般的意味(スキーマ)をぶち壊すこと、つまり習慣を断ち切ることだと思う。
「かける」「マイナス」という言葉から、一般の人たちはどんなことを連想するのか、何をイメージするのか。つまり、どんなスキーマ(既にもっている知識・認知構造)をもっているのか。
「かける」という言葉からは、おそらく、大きくなる、多くなる、増える、倍になる、などのイメージをもつだろう。そして、「マイナス」には、何かを取ること、減っている状態、負担のある状態、などのイメージがあるだろう。とすれば、「マイナス」を「かける」となると、逆に、少なくなる、減る、何分の一かになる、などをイメージするはずだ。
さらに、「マイナス」に「マイナス」を「かける」となると、「マイナス」と「かける」のイメージから、答えがプラスになるはずがないと思ってしまう。
しかし、数学は一般的・日常的なスキーマを頑なに拒否する。あくまで、数学の論理で無矛盾性・一貫性をひたすら追究する。その結果が、「マイナス」「かける」「マイナス」はプラスなのだ。ここで一般社会(日常生活)との一種の乖離が生まれてしまう。
残念なことに、これが数学が嫌われる一つの理由かと思われる。
http://fukuto.asablo.jp/blog/2009/06/18/4373835
http://fukuto.asablo.jp/blog/2009/06/21/4382046
すでに上記にカードゲームの例と東西に移動する例を述べたが、「マイナス」を「かける」ことを一般的スキーマとは違うように捉えている。
カードゲームでは「捨てるという行為」に、そして東西への移動では「時間を遡ること」にたとえている。「マイナス」を負担のある状態や減ってしまった状態とは考えていない。
ある意味、数学を学ぶとは言葉もつ一般的意味(スキーマ)をぶち壊すこと、つまり習慣を断ち切ることだと思う。
マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか1 ― 2009年06月18日 19時26分
多くの人が疑問を抱く「マイナスかけるマイナスはなぜプラスなのか」である。
調べてみると様々な説明方法があるので、紹介していきたい。
プラスとは財産である、マイナスとは借金である、それなら借金かける借金がなぜ財産になるのか、そんなバカな話があるはずがない、などという疑問・不満・批判があるが、ちょっと冷静に考えると、その主張のおかしさはすぐにわかる。そもそも借金に借金をかけることなどあり得ない。
例えば、借金が3人に対して100万円ずつある場合は、マイナス100万円かけるプラス3人で借金は300万円(マイナス)となる。これはマイナスかけるプラスはマイナスという数学のルールと全く同じだ。しかし、100万円の借金(マイナス)と100万円の借金(マイナス)をかけることに何の意味もない。だから、マイナスをかけるということの意味が全く違うのだ。
純粋な数学的な証明ではなく、私でも理解できた日常言語での説明を紹介したい。
以下、『数学入門(上)』(遠山啓)の内容を私なりに説明してみた。
あるカードゲームがある。細かいゲームのルールは無視し、数の入ったプラスのカードとマイナスのカードがあるとする。例えば、プラス1、プラス2、プラス3...、マイナス1、マイナス2、マイナス3...などのカードだ。また、それらのカードを獲得することをプラスで表し、捨てることをマイナスで表すこととする。そして自分のもっているカードを合計して得点とする。
例えば、プラス2のカードを2枚獲得(プラス)すれば、プラス2かけるプラス2でプラス4得点となる。また、マイナス2のカードを3枚獲得(プラス)すれば、マイナス2かけるプラス3でマイナス6得点となる。では、プラス3のカードを2枚捨てたら(マイナス)どうなるのか。プラス3かけるマイナス2で、マイナス6得点となる。つまり6得点を損した(マイナス)ことになるわけだ。
さらに、マイナス2のカードを2枚捨てたら(マイナス)どうなるか。ここでマイナス2かけるマイナス2はプラス4とならねばならない。なぜなら、マイナス2のカードを捨てること(マイナス)は4点の得(プラス)となるからだ。
ここでは、捨てるという行為をマイナスにたとえるところがポイントだ。
まとめてみる。
プラスカードを獲得 プラスかけるプラス 得(プラス)
プラスカードを捨てる プラスかけるマイナス 損(マイナス)
マイナスカードを獲得 マイナスかけるプラス 損(マイナス)
マイナスカードを捨てる マイナスかけるマイナス 得(プラス)
調べてみると様々な説明方法があるので、紹介していきたい。
プラスとは財産である、マイナスとは借金である、それなら借金かける借金がなぜ財産になるのか、そんなバカな話があるはずがない、などという疑問・不満・批判があるが、ちょっと冷静に考えると、その主張のおかしさはすぐにわかる。そもそも借金に借金をかけることなどあり得ない。
例えば、借金が3人に対して100万円ずつある場合は、マイナス100万円かけるプラス3人で借金は300万円(マイナス)となる。これはマイナスかけるプラスはマイナスという数学のルールと全く同じだ。しかし、100万円の借金(マイナス)と100万円の借金(マイナス)をかけることに何の意味もない。だから、マイナスをかけるということの意味が全く違うのだ。
純粋な数学的な証明ではなく、私でも理解できた日常言語での説明を紹介したい。
以下、『数学入門(上)』(遠山啓)の内容を私なりに説明してみた。
あるカードゲームがある。細かいゲームのルールは無視し、数の入ったプラスのカードとマイナスのカードがあるとする。例えば、プラス1、プラス2、プラス3...、マイナス1、マイナス2、マイナス3...などのカードだ。また、それらのカードを獲得することをプラスで表し、捨てることをマイナスで表すこととする。そして自分のもっているカードを合計して得点とする。
例えば、プラス2のカードを2枚獲得(プラス)すれば、プラス2かけるプラス2でプラス4得点となる。また、マイナス2のカードを3枚獲得(プラス)すれば、マイナス2かけるプラス3でマイナス6得点となる。では、プラス3のカードを2枚捨てたら(マイナス)どうなるのか。プラス3かけるマイナス2で、マイナス6得点となる。つまり6得点を損した(マイナス)ことになるわけだ。
さらに、マイナス2のカードを2枚捨てたら(マイナス)どうなるか。ここでマイナス2かけるマイナス2はプラス4とならねばならない。なぜなら、マイナス2のカードを捨てること(マイナス)は4点の得(プラス)となるからだ。
ここでは、捨てるという行為をマイナスにたとえるところがポイントだ。
まとめてみる。
プラスカードを獲得 プラスかけるプラス 得(プラス)
プラスカードを捨てる プラスかけるマイナス 損(マイナス)
マイナスカードを獲得 マイナスかけるプラス 損(マイナス)
マイナスカードを捨てる マイナスかけるマイナス 得(プラス)
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